2019年7月25日木曜日

Raspberry Piで作るデジタルオーディオシステムのメモ

Raspberry Piで作るデジタルオーディオシステムの現状をざっくりとまとめてみました.

  • 本体
2019年7月現在,Raspberry Pi 4Bが発表されているものの,日本では未発売なので,3B3B+になるでしょうか.両者ともWiFiとbluetooth内蔵です.最初の設定の時だけはディスプレイが必要です.SSHでリモートログインできるようになったらディスプレイは不要です.また,ACアダプターとmicroSDカードも忘れないように購入しましょう.

なお,4Bと3B/3B+はディスプレイ端子と電源端子の形状が変更されているので,ケースに互換性はありません.3Bと3B+も若干形状が異なっており,このケースに3B+を入れるには,加工が少し必要なようです.

  • OS
Raspberry Piをパソコン代わりに使う際には,Debian LinuxベースのRaspbianが提供されていますが,Raspberry Piをオーディオサーバーとして用いる際に最も良く使われているOS(基本ソフトウェア)がVolumioです.日本語のWeb情報も多いです.他にはMoode AudioRuneAudioがあります.面白いのは,OSを変えると音も変わることです.microSDカードを複数枚用意して,OSを入れ替えながら使ってみると良いでしょう.

  • I2S-DAC
I2SというのはIC間でデジタル音声データを伝送するプロトコルです.この仕様のデータを受け入れて,Raspberry PiのGPIOピンに直接挿せるボードがあり,これで,Raspberry Piのデジタルオーディオをアナログに変換します.パソコン+USB-DACと違うのは,USBケーブルにはノイズがいっぱい乗っていると言う話があり,このようなUSBラインのノイズフィルターなどが売られていますが,I2SだとUSBラインのノイズは乗りません(Raspberry Pi自体のデジタル部分のノイズは乗ると思います).

2018年にRaspberry Piオーディオケースの規格ができてこの手のケースを使うと,DACつきのRaspberry Piをちゃんとケースに入れられるようになりました.

気を付けることは,I2Sはシステムクロック,ビットクロック,LRクロック,データ信号の4本の線を使うのですが,Raspberry Piからはシステムクロックが出力されないので,システムクロック入力が不要なDACを選ぶ必要があります.代表的なのがDACチップとしてPCM5122 (32bit, 384kHzまで入力可能)を用いたこのようなボードです.ただし,PCM5122を用いても,このボードのようにシステムクロックをチップの外部から入力することもできます.DACチップとしてPCM5122を用いていれば,Raspberry PiのOSからはHiFiBerry DACもしくはHiFiBerry DAC+として人気できるようです.

PCM5122でも頑張れば,このボードこのボードを組み合わせて,DACボード側でシステムクロックを生成してRaspberry Pi側に送ることもでき,より精度の高いクロックを供給することができます.

注意:デジタル音楽データの伝送エラーは,基本的にほとんど起きないのですが,クロックのゆらぎ(クロックジッタと呼ばれる)があると,これがアナログの波形に影響を与えます.デジタルオーディオの世界では,ルビジウムを用いたマスタークロック供給機器などもあります.

  • 音楽データを保存する機器(NASもしくはタブレットPC,スマホなど)
本体をmicroSDカードで運用する場合に,別に音楽データを入れるのに使います.

NASを用いる場合
Raspberry Piと2.5inch SSD/HDDを内蔵できるこういうケースもあります.電源スイッチも付いているので,Raspberry Pi自体をNASとして運用するには良いと思います.パソコンをNASサーバーとして用いて,パソコンに入れた音楽データにRaspberry Piからアクセスさせることもできます.

スマホなどから音楽データを飛ばす場合
なお,Raspberry Pi上のOSにVolumioなど前述のOSを使うと,AirPlayという機能が使えるので,スマホの音声出力をRaspberry Piに飛ばして,スマホに入っている音楽データをRaspberry Pi経由で再生できます.

  • アンプ
Raspberry Piに合わせるなら,デジタルアンプがコスパが良いと思います.安価な割に定評のあるTA2020を使った物としては,例えばNFJのこれなどでしょうか.最近流行っているオペアンプ差し替えですが,定番はOPA627への交換です.半田付けを頑張るならここあたり,DIP製品がよければこれを2個とこの変換基板を購入します.オペアンプ差し替え済みのこれとか,かなり良いと思います.

TA2020を使った組み立てキットもあるようです.

  • スピーカー
値段別にリストアップしてみます.

1万円コース
  1. スピーカーユニットは毎年7月に発売されている音楽の友社ONTOMO MOOKのスピーカーユニット(2019年はマークオーディオ製8cmスピーカー(Amazon)).スピーカーボックスはFOSTEXの8cm用バスレフ箱P800-Eを2個(Amazon).
  2. FOSTEXかんすぴセットP802-S(Amazon).
  3. その他,8cmだとコイズミ無線で色々選べます.
2万円コース
  1. 2019年7月に,FOSTEXの定番FE83シリーズの新製品FE83NVが出ました.これとバックロードホーンエンクロージャー(完成品組み立て品)もしくはダブルバスレフ型エンクロージャーを組み合わせると良いと思います.
  2. 上記の10cmタイプだとFE103NVバスレフ型エンクロージャー (各2個ずつ)が2万円で構成可能です.
3万円〜5万円コース

この値段になると,オーディオメーカー製のそこそこのスピーカーが入手できます.代表的な物として,以下を挙げておきます.
  1. DALI ZENSOR1 (Amazon).
  2. TEAC S-300NEO (Amazon).
  3. TANNOY MERCURY 7.1 (Amazon)
  4. FOSTEX FE103NV + FOSTEXエンクロージャー (各2個ずつ)

  • 最後に
Raspberry Piでオーディオをやってみるなら,この連載が網羅的にまとまっています.

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