真空管アンプを買った日に寄り道して買っておいた,エレキットのUSB-DACを作ってみました.
セルフパワーにするための追加部品は全て手元にあったので,初めからセルフパワーで作製.最初電源をつないでも,パソコンから認識されない!パイロットランプも無いので,電源が来ているかも不明!最初はキット通りに作るべきだったかと,あせりました.
テスターを持ち出してセルフパワーの電源周りを確認してみたところ,DCジャックの配線を間違っていました.DCプラグを差し込むと−側でつながっている2つの端子って離れて,片方だけが−になるのね.久しぶりなので,すっかり忘れていました.
ハンダ付けをやり直したところ,今度は大丈夫.
秋月のUSB-DACと2台,両方とも動きました.
このキットはオペアンプの交換ができたりするので,もう少しいじくれそうです.
2014年5月29日木曜日
2014年5月28日水曜日
秋月電子USB-DACおよびローパスフィルタの製作
秋月電子のUSB-DACキットにローパスフィルタを組み込んで,実際に作ってみました.
ローパスフィルタは,ぺるけさんのページにある数値を参考にし,手元にあった部品で自分で再計算(ローパスフィルタのみの場合と,その前段のハイパス(DCカット)フィルタも含めた場合)してシミュレーションしています.ローパスフィルタの効きが分かるように,フィルタなしの回路とフィルタありの回路を切り替えられるようにしました.
次のオシロの写真は無音入力時の波形(上の黄色)とFFT(下の赤色)です.波形は縦軸が1ブロックあたり10mV,横軸は4msです.FFTの横軸は1ブロックあたり12.5kHz,縦軸は10dBVです.
次のオシロの写真は,ローパスフィルタを挟んだときの波形(青色)とFFT(赤色)です.
FFTでざっと-10dBVぐらいの差が出ています.電圧比で$1/\sqrt{10}$倍に減ったことになります.波形を見ても明らかにノイズは減っているようなので,ローパスフィルタの効き目はあったようです.
現在のところ,裸のままでタミヤのプラスチック基板にねじ止めしているだけなので,そのうち,ちゃんとしたケースに入れようと思います.
ローパスフィルタは,ぺるけさんのページにある数値を参考にし,手元にあった部品で自分で再計算(ローパスフィルタのみの場合と,その前段のハイパス(DCカット)フィルタも含めた場合)してシミュレーションしています.ローパスフィルタの効きが分かるように,フィルタなしの回路とフィルタありの回路を切り替えられるようにしました.
あまり配置を考えずに配線してしまいましたが,とりあえず音が出ました.
次のオシロの写真は無音入力時の波形(上の黄色)とFFT(下の赤色)です.波形は縦軸が1ブロックあたり10mV,横軸は4msです.FFTの横軸は1ブロックあたり12.5kHz,縦軸は10dBVです.
次のオシロの写真は,ローパスフィルタを挟んだときの波形(青色)とFFT(赤色)です.
FFTでざっと-10dBVぐらいの差が出ています.電圧比で$1/\sqrt{10}$倍に減ったことになります.波形を見ても明らかにノイズは減っているようなので,ローパスフィルタの効き目はあったようです.
現在のところ,裸のままでタミヤのプラスチック基板にねじ止めしているだけなので,そのうち,ちゃんとしたケースに入れようと思います.
2014年5月25日日曜日
秋月電子USB-DAC用ローパスフィルタの設計(その2)
「秋月電子USB-DAC用ローパスフィルタの設計」で,外付けのローパスフィルタに使う抵抗の抵抗値,コンデンサの容量を確認したのですが,元のページでは,さらに回路の出口のすぐ外に10kΩが追加されており,これが回路の出口に直列で付いている47μFの電解コンデンサにたまった電荷を放出するためとの事です.
その結果,電解コンデンサから先の回路は下記の回路のようになっています.
gnuplotに食わせるスクリプトは以下のようになります.
結果のグラフは以下のようになりました. まず,最初のハイパスフィルタだけの周波数特性です.
その結果,電解コンデンサから先の回路は下記の回路のようになっています.
ここで,オレンジで囲まれている部分が,元々のキットに含まれている部分です.この部分まで含めて回路図を描くと
- ハイパスフィルタ(47μF + 10kΩ)
- ローパスフィルタ(100Ω + 0.022μF)
- ローパスフィルタ(330Ω + 0.0047μF)
まず,1段目だけのハイパスフィルタの周波数特性を計算します.下図のように変数を定義します.抵抗の抵抗値を$R_0$,コンデンサの容量を$C_0$,入力電圧を$v_i(t)$,出力電圧を$v_2(t)$,コンデンサに流れる電流を$i_1(t)$,コンデンサにかかる電圧を$v_{C_0}(t)$とします.
すると,抵抗に関する式
$$v_2(t) = R_0 i_1(t)$$
コンデンサに関する式
$$\frac{d v_{C_0}(t)}{dt} = \frac{1}{C_0}i_0(t)$$
電圧に関する式
$$v_i(t) = v_{C_0}(t) + v_2(t)$$
が成立します.これらの式から$i_0(t)$と$v_{C_0}(t)$を消すと
$$\frac{d^2}{dt^2}v_i(t) + \frac{1}{C_0R_0}\frac{dv_2(t)}{dt} + \frac{d^2}{dt^2}v_2(t)$$
となります.これをラプラス変換すると
$$V_i(s)s^2 = \frac{1}{C_0R_0}V_2(s)s + V_2(s)s^2$$
となるので,伝達関数は
$$G(s) = \frac{V_2(s)}{V_i(s)} = \frac{C_0R_0 s}{1 + C_0R_0 s}$$
となります.周波数特性は$s = j\omega$,$\omega = 2\pi f$を入れて絶対値を取る事で
$$|G(j\omega)| = \frac{C_0R_02\pi f}{\sqrt{1 + (C_0R_02\pi f)^2}}$$
となるので,dBに直すと
$$g = 20\log_{10}|G(j\omega)| = 20\log_{10}\frac{C_0R_02\pi f}{\sqrt{1 + (C_0R_02\pi f)^2}}$$
となります.
次に,3段まとめたフィルタの周波数特性を計算します.下図のように変数を定義します.抵抗の抵抗値をそれぞれ$R_0$,$R_1$,$R_2$,コンデンサの容量をそれぞれ$C_0$,$C_1$,$C_2$,コンデンサ$C_0$に流れる電流を$i_1(t)$,抵抗$R_0$に流れる電流を$i_r(t)$,抵抗$R_1$に流れる電流を$i_2(t)$,コンデンサ$C_1$に流れる電流を$i_c(t)$,抵抗$R_2$に流れる電流を$i_3(t)$,入力電圧を$v_i(t)$,抵抗$R_1$の手前の電位を$v_2(t)$,コンデンサ$C_0$にかかる電圧を$v_{C_0}(t)$,コンデンサ$C_1$にかかる電圧を$v_{C_1}(t)$,出力電圧を$v_o(t)$とします.
すると,電圧に関する式
$$v_i(t) = v_{C_0}(t) + v_2(t)$$
$$v_2(t) = R_0 i_r(t)$$
$$v_2(t) = R_1 i_2(t) + v_{C_1}(t)$$
$$v_{C_1}(t) = R_2 i_3(t) + v_o(t)$$
電流に関する式
$$i_1(t) = i_2(t) + i_r(t), \quad i_2(t) = i_3(t) + i_c(t),$$
コンデンサの充電に関する式
$$i_1(t) = C_0 \frac{dv_{C_0}(t)}{dt}, \quad i_c(t) = C_1 \frac{dv_{C_1}(t)}{dt}, \quad i_3(t) = C_2 \frac{dv_o(t)}{dt}$$
が得られます.
まず,$v_2(t)$から右だけを見ると,これは$v_2(t)$より左には依存しないので前回の計算と同じ形になり,この部分の伝達関数の逆数は
$$\frac{V_2(s)}{V_o(s)} = (R_1C_1s + 1)(R_2C_2s+1) + R_1C_2s$$
となります.
$v_2(t)$より左については,上のハイパスフィルタとは微妙に式が違う($i_1(t)$が$i_2(t)$と$i_r(t)$に分かれて,電流$i_2(t)$が$v_2(t)$以降の回路に流れ込む)ので,上の式からうまく$i_2(t)$を消して$v_2(t)$を残すようにすると,
$$\frac{d^2}{dt^2}v_i(t) = \frac{C_1 + C_2}{C_0} \frac{d^2}{dt^2} v_o(t) + \frac{C_1C_2R_2}{C_0} \frac{d^3}{dt^3} v_o(t) + \frac{1}{C_0R_0} \frac{d}{dt}v_2(t) + \frac{d^2}{dt^2} v_2(t)$$
が得られます.ラプラス変換すると
$$V_i(s)s^2 = \frac{C_1 + C_2}{C_0} V_o(s)s^2 + \frac{C_1C_2R_2}{C_0} V_o(s)s^3 + \frac{1}{C_0R_0} V_2(s)s + V_2(s)s^2$$
となります.すると,全体の伝達関数の逆数は
$$\frac{V_i(s)}{V_o(s)} = \frac{C_1 + C_2}{C_0} + \frac{C_1C_2R_2}{C_0}s + (\frac{1}{C_0R_0s} + 1)\frac{V_2(s)}{V_o(s)} = \frac{C_1 + C_2}{C_0} + \frac{C_1C_2R_2}{C_0}s + (\frac{1}{C_0R_0s} + 1)\{ (C_1R_1s + 1)(C_2R_2s + 1) + R_1C_2 s\}$$
となります.$s = j\omega$を代入し,複素数としての絶対値を取り,さらに$\omega = 2\pi f$を代入すると,最終的な周波数特性は
$$g = 20\log_{10} |G(j\omega)| = 20\log_{10} \frac{C_0R_02\pi f}{\sqrt{(C_1R_0 + C_2R_0 + C_1R_1 + C_2R_2 + C_2R_1 + C_0R_0 - C_0C_1C_2R_0R_1R_2(2\pi f)^2)^2 (2\pi f)^2 + \{ 1 - ( C_1C_2R_1R_2 + C_1C_2R_0R_2 + C_0C_1R_0R_1 + C_0C_2R_0R_2 + C_0C_2R_1R_2)(2\pi f)^2\}^2}}$$
となります.
以上の2つの式に以下のパラメータを代入してgnuplotでプロットします.
- $C_0 = 47 \times 10^{-6}$,$R_0 = 10 \times 10^3$
- $R_1 = 100$,$C_1 = 0.022 \times 10^{-6}$
- $R_2 = 330$,$C_2 = 0.0047 \times 10^{-6}$
gnuplotに食わせるスクリプトは以下のようになります.
set logscale x
set xrange [0.1:1000000]
set xlabel 'Hz'
set ylabel 'dB'
f(r0, c0, f) = 20 * log10(c0 * r0 * 2 * 3.1415 * f) - 10 * log10((2 * 3.1415 * r0 * c0 * f)**2 + 1)
g(r0, c0, r1, c1, r2, c2, f) = 20 * log10(c0 * r0 * 2 * 3.1415 * f) - 10 * log10((c1*r0 + c2*r0 + c1*r1 + c2*r2 + c2*r1 + c0*r0 - c0*c1*c2*r0*r1*r2*(2 * 3.1415 * f)**2)**2 * (2 * 3.1415 * f)**2 + (1 - (c1*c2*r1*r2 + c1*c2*r0*r2 + c0*c1*r0*r1 + c0*c2*r0*r2 + c0*c2*r1*r2)*(2 * 3.1415 * f)**2)**2 )
set term pdf
set output 'HighPass-47uF-10kohm-0.1Hz-1MHz.pdf'
plot f(10e3, 47e-6, x) title '47uF, 10kohm'
set term png
set output 'HighPass-47uF-10kohm-0.1Hz-1MHz.png'
replot
set term pdf
set output 'HighPass-47uF-10kohm+LowPass-100ohm-0.022uF-330ohm-0.0047uF-0.1Hz-1MHz.pdf'
plot g(10e3, 47e-6, 100, 0.022e-6, 330, 0.0047e-6, x) title '47uf, 10kohm + 100ohm, 0.022uF + 330ohm, 0.0047uF'
set term png
set output 'HighPass-47uF-10kohm+LowPass-100ohm-0.022uF-330ohm-0.0047uF-0.1Hz-1MHz.png'
replot
|
結果のグラフは以下のようになりました. まず,最初のハイパスフィルタだけの周波数特性です.
次がハイパスフィルタと2段のローパスフィルタ全体の周波数特性です.
ちょっとすごい式になりましたが,プロットしてみると,きちんと計算できてそうに見えます.
2014年5月24日土曜日
秋月電子USB-DAC用ローパスフィルタの設計
真空管アンプにはMac miniのヘッドフォン端子から音を入れているのですが,最近USB-DACが流行っているみたいなので,一番安い秋月電子のUSB-DACを買いました.
エレキットのUSB-DACだと,出力にオペアンプが入っていたりするのですが,秋月電子のキットはD/A変換した信号がそのまま出力されているので,色々と回路を追加した改造例があるようです.その中で,ぺるけさんのページhttp://www.op316.com/tubes/lpcd/aki-dac.htmに,ローパスフィルタを付ける話があったので,やってみることにしました.
ここで一つ問題が.ここに載っていた抵抗値は100Ωと390Ωまたは82Ωと330Ωだったのですが,手元にあった抵抗が100Ωと330Ωなので,どっちの組み合わせでもありません.
折角なので,100Ωと330Ωの組み合わせでも問題ないかどうか自分で計算してみました.あと,100Ω-0.022uFと330Ω-0.0047uFのそれぞれ単体で,どの程度のフィルタ特性になるかも確認します.計算をフォローするWebページが無かったので,教科書「演習で学ぶ基礎制御工学」を取り出して,改めて問題を解いてみます.
まず以下のような1段だけの場合,入力電圧を$v_i(t)$,出力電圧を$v_o(t)$,抵抗値を$R_1$,コンデンサの容量を$C_1$,抵抗に流れる電流を$i_1(t)$とします.
すると,電圧の式として
$$R_1 i_1(t) + v_o(t) = v_i(t)$$
が出ます.また,コンデンサの充電の式として
$$v_o(t) = \frac{1}{C_1} \int_0^t i_1(\tau)\, d\tau$$
が出ます.2番目の式を$t$で微分すると
$$\frac{d v_o(t)}{dt} = \frac{1}{C_1} i_1(t)$$
となるので,これを最初の式に代入すると
$$R_1C_1\frac{d v_o(t)}{dt} + v_o(t) = v_i(t)$$
となります.電圧の初期値を$0$としてラプラス変換すると
$$R_1C_1 s V_o(s) + V_o(s) = V_i(s)$$
となるので,この回路の伝達関数は
$$G(s) = \frac{V_o(s)}{V_i(s)} = \frac{1}{R_1C_1 s + 1}$$
となります.ゲインは
$$|G(j\omega)| = \frac{1}{\sqrt{(R_1C_1\omega)^2 + 1}}$$
となるので,$\omega = 2\pi f$を代入すると,結局周波数特性は
$$g = 20\log_{10} |G(j \omega)| = 10 \log_{10}\frac{1}{(2\pi R_1C_1 f)^2 + 1}$$
となります.
次に,以下のように2段重ねた場合に,入力電圧を$v_i(t)$,1個目のコンデンサにかかる電圧を$v_c(t)$,出力電圧を$v_o(t)$,抵抗の抵抗値を$R_1$と$R_2$,コンデンサの容量を$C_1$と$C_2$,抵抗に流れる電流を$i_1(t)$と$i_2(t)$,$C_1$に流れる電流を$i_c(t)$とします.
コンデンサの充電の式が2個,
$$ i_c(t) = C_1 \frac{d v_c(t)}{dt}, \quad i_2(t) = C_2 \frac{d v_o(t)}{dt} $$
電流の式が1個,
$$i_1(t) = i_c(t) + i_2(t)$$
電圧の式が2個,
$$ R_1 i_1(t) + v_c(t) = v_i(t), \quad R_2 i_2(t) + v_o(t) = v_c(t)$$
出ます.
これらから電流を消すと
$$R_1( C_1\frac{d v_c(t)}{dt} + C_2 \frac{d v_o(t)}{dt} ) + v_c(t) = v_i(t)$$
および
$$ R_2 C_2 \frac{d v_o(t)}{dt} + v_o(t) = v_c(t)$$
が出ますので,全ての初期値を$0$にしてラプラス変換すると
$$R_1( C_1 V_c(s) s+ C_2 V_c(s) s) + V_c(s) = V_i(s)$$
および
$$R_2 C_2 V_o(s) s + V_o(s) = V_c(s)$$
が出ます.この2式から$V_c(s)$を消すと,結局
$$(R_1 C_1 s + 1)(R_2 C_2 s + 1)V_o(s) + R_1 C_2 s V_o(s) = V_i(s)$$
となり,伝達関数は
$$G(s) = \frac{V_o(s)}{V_i(s)} = \frac{1}{(R_1 C_1 s + 1)(R_2 C_2 s + 1) + R_1 C_2 s}$$
となります.ゲインは
$$|G(j\omega)| = \frac{1}{\sqrt{(R_1C_1+R_2C_2+R_1C_2)^2\omega^2 + (1-R_1C_1R_2C_2\omega^2)^2}}$$
となるので,$\omega = 2\pi f$を入れると,周波数特性は
\begin{align*}
g &= 20 \log_{10} |G(j\omega)|
\\
&= 10 \log_{10} \frac{1}{(R_1C_1+R_2C_2+R_1C_2)^2(2\pi f)^2 + (1-R_1C_1R_2C_2(2\pi f)^2)^2}
\end{align*}
となります.
以上の2つの式に下記のパラメータを代入してgnuplotでプロットしてみます.
gnuplotに食わせるスクリプトはこんなかんじ.
結局,1段と2段ではローパスフィルタの効き目は結構違うこと,また,1段目の抵抗値を100Ωにしておけば,2段目の抵抗値 は330Ωでも390Ωでも430Ωでもあまり変わらないことが分かったので,手元にある100Ωと330Ωで下記のようなローパスフィルタ回路を組んでみる事にしました.
続きは「秋月電子USB-DAC用ローパスフィルタの設計(その2)」で.
エレキットのUSB-DACだと,出力にオペアンプが入っていたりするのですが,秋月電子のキットはD/A変換した信号がそのまま出力されているので,色々と回路を追加した改造例があるようです.その中で,ぺるけさんのページhttp://www.op316.com/tubes/lpcd/aki-dac.htmに,ローパスフィルタを付ける話があったので,やってみることにしました.
ここで一つ問題が.ここに載っていた抵抗値は100Ωと390Ωまたは82Ωと330Ωだったのですが,手元にあった抵抗が100Ωと330Ωなので,どっちの組み合わせでもありません.
折角なので,100Ωと330Ωの組み合わせでも問題ないかどうか自分で計算してみました.あと,100Ω-0.022uFと330Ω-0.0047uFのそれぞれ単体で,どの程度のフィルタ特性になるかも確認します.計算をフォローするWebページが無かったので,教科書「演習で学ぶ基礎制御工学」を取り出して,改めて問題を解いてみます.
まず以下のような1段だけの場合,入力電圧を$v_i(t)$,出力電圧を$v_o(t)$,抵抗値を$R_1$,コンデンサの容量を$C_1$,抵抗に流れる電流を$i_1(t)$とします.
すると,電圧の式として
$$R_1 i_1(t) + v_o(t) = v_i(t)$$
が出ます.また,コンデンサの充電の式として
$$v_o(t) = \frac{1}{C_1} \int_0^t i_1(\tau)\, d\tau$$
が出ます.2番目の式を$t$で微分すると
$$\frac{d v_o(t)}{dt} = \frac{1}{C_1} i_1(t)$$
となるので,これを最初の式に代入すると
$$R_1C_1\frac{d v_o(t)}{dt} + v_o(t) = v_i(t)$$
となります.電圧の初期値を$0$としてラプラス変換すると
$$R_1C_1 s V_o(s) + V_o(s) = V_i(s)$$
となるので,この回路の伝達関数は
$$G(s) = \frac{V_o(s)}{V_i(s)} = \frac{1}{R_1C_1 s + 1}$$
となります.ゲインは
$$|G(j\omega)| = \frac{1}{\sqrt{(R_1C_1\omega)^2 + 1}}$$
となるので,$\omega = 2\pi f$を代入すると,結局周波数特性は
$$g = 20\log_{10} |G(j \omega)| = 10 \log_{10}\frac{1}{(2\pi R_1C_1 f)^2 + 1}$$
となります.
次に,以下のように2段重ねた場合に,入力電圧を$v_i(t)$,1個目のコンデンサにかかる電圧を$v_c(t)$,出力電圧を$v_o(t)$,抵抗の抵抗値を$R_1$と$R_2$,コンデンサの容量を$C_1$と$C_2$,抵抗に流れる電流を$i_1(t)$と$i_2(t)$,$C_1$に流れる電流を$i_c(t)$とします.
コンデンサの充電の式が2個,
$$ i_c(t) = C_1 \frac{d v_c(t)}{dt}, \quad i_2(t) = C_2 \frac{d v_o(t)}{dt} $$
電流の式が1個,
$$i_1(t) = i_c(t) + i_2(t)$$
電圧の式が2個,
$$ R_1 i_1(t) + v_c(t) = v_i(t), \quad R_2 i_2(t) + v_o(t) = v_c(t)$$
出ます.
これらから電流を消すと
$$R_1( C_1\frac{d v_c(t)}{dt} + C_2 \frac{d v_o(t)}{dt} ) + v_c(t) = v_i(t)$$
および
$$ R_2 C_2 \frac{d v_o(t)}{dt} + v_o(t) = v_c(t)$$
が出ますので,全ての初期値を$0$にしてラプラス変換すると
$$R_1( C_1 V_c(s) s+ C_2 V_c(s) s) + V_c(s) = V_i(s)$$
および
$$R_2 C_2 V_o(s) s + V_o(s) = V_c(s)$$
が出ます.この2式から$V_c(s)$を消すと,結局
$$(R_1 C_1 s + 1)(R_2 C_2 s + 1)V_o(s) + R_1 C_2 s V_o(s) = V_i(s)$$
となり,伝達関数は
$$G(s) = \frac{V_o(s)}{V_i(s)} = \frac{1}{(R_1 C_1 s + 1)(R_2 C_2 s + 1) + R_1 C_2 s}$$
となります.ゲインは
$$|G(j\omega)| = \frac{1}{\sqrt{(R_1C_1+R_2C_2+R_1C_2)^2\omega^2 + (1-R_1C_1R_2C_2\omega^2)^2}}$$
となるので,$\omega = 2\pi f$を入れると,周波数特性は
\begin{align*}
g &= 20 \log_{10} |G(j\omega)|
\\
&= 10 \log_{10} \frac{1}{(R_1C_1+R_2C_2+R_1C_2)^2(2\pi f)^2 + (1-R_1C_1R_2C_2(2\pi f)^2)^2}
\end{align*}
となります.
以上の2つの式に下記のパラメータを代入してgnuplotでプロットしてみます.
- 1段のフィルタ回路で$R_1 = 330$,$C_1 = 0.0047\times 10^{-6}$
- 1段のフィルタ回路で$R_1 = 100$,$C_1 = 0.022\times 10^{-6}$
- 2段のフィルタ回路で$R_1 = 82$,$C_1 = 0.022\times 10^{-6}$,$R_2 = 330$,$C_2 = 0.0047\times 10^{-6}$
- 2段のフィルタ回路で$R_1 = 100$,$C_1 = 0.022\times 10^{-6}$,$R_2 = 330$,$C_2 = 0.0047\times 10^{-6}$
- 2段のフィルタ回路で$R_1 = 100$,$C_1 = 0.022\times 10^{-6}$,$R_2 = 390$,$C_2 = 0.0047\times 10^{-6}$
- 2段のフィルタ回路で$R_1 = 100$,$C_1 = 0.022\times 10^{-6}$,$R_2 = 430$,$C_2 = 0.0047\times 10^{-6}$
gnuplotに食わせるスクリプトはこんなかんじ.
set term pdf
set output 'LowPassFilter-100ohm-0.022uF-330ohm-0.0047uF-10Hz-1MHz.pdf'
set logscale x
set xrange [10:1000000]
set xlabel 'Hz'
set ylabel 'dB'
f(r1, c1, f) = 10 * log10(1/((2 * 3.1415 * r1 * c1 * f)**2 + 1))
g(r1, c1, r2, c2, f) = 10 * log10(1/( (r1*c1 + r2*c2 + r1 * c1)**2 * (2*3.1415 * f)**2 + (1 - r1*c1*r2*c2*(2*3.1415 * f)**2) ))
plot \
f(330, 0.0047e-6, x) title '330ohm, 0.0047uF', \
f(100, 0.022e-6, x) title '100ohm, 0.022uF', \
g(82, 0.022e-6, 330, 0.0047e-6, x) title '82ohm, 0.022uF + 330ohm, 0.0047uF', \
g(100, 0.022e-6, 330, 0.0047e-6, x) title '100ohm, 0.022uF + 330ohm, 0.0047uF', \
g(100, 0.022e-6, 390, 0.0047e-6, x) title '100ohm, 0.022uF + 390ohm, 0.0047uF', \
g(100, 0.022e-6, 430, 0.0047e-6, x) title '100ohm, 0.022uF + 430ohm, 0.0047uF'
set term png
set output 'LowPassFilter-100ohm-0.022uF-330ohm-0.0047uF-10Hz-1MHz.png'
replot
set xrange [1000:1000000]
set term pdf
set output 'LowPassFilter-100ohm-0.022uF-330ohm-0.0047uF-1kHz-1MHz.pdf'
replot
set term png
set output 'LowPassFilter-100ohm-0.022uF-330ohm-0.0047uF-1kHz-1MHz.png'
replot
|
結局,1段と2段ではローパスフィルタの効き目は結構違うこと,また,1段目の抵抗値を100Ωにしておけば,2段目の抵抗値 は330Ωでも390Ωでも430Ωでもあまり変わらないことが分かったので,手元にある100Ωと330Ωで下記のようなローパスフィルタ回路を組んでみる事にしました.
続きは「秋月電子USB-DAC用ローパスフィルタの設計(その2)」で.
2014年5月17日土曜日
春日無線変圧器PCL86シングルアンプキット(KA-33SE)購入・製作
急に無性に欲しくなった真空管アンプは,結局下記の物にしました.
春日無線変圧器PCL86シングルアンプキットKA-33SE
電話で聞いたところ,お店が開いているのが6時半までというので,あわてて電車に乗って秋葉原まで行ってきました.5月末まで期間限定で28,000円.完成品も56,000円で売っているみたいです.
買った翌日に早速製作開始.まず部品をケースにねじ止めします.
ボリュームのつまみは金属製にしたかったので,千石電商でアルミのつまみを別途購入しました.
裏はこんな状態です.
初日はこれらのワイヤーを配線したところまでで時間切れ.2時間ぐらいでした.
翌日は抵抗とコンデンサを配線.これも2時間ぐらいで終了.
テスターで電圧チェックするように組立説明書に書いてあるのですが,確認する電圧が最大でDC 240V前後.250Vまでのテスターしか持ってないので,測ってみても針がふりきれてしまいます.買ったときの説明でも1割ぐらいの差はありますという話だったので,まあ電源のトランス,ブリッジダイオードの直後だしショートしてなければOKということにして確認終了.
パソコンにつないでみたところ,あっけなく一発で動作.めでたく,デスクトップオーディオシステムが完成しました.
今はとりあえずMac miniのヘッドホン端子から直接入れています.一緒にエレキットのUSB-DACモジュールも買って来たので,そのうちこれ経由の音も聞いてみたいと思います.
春日無線変圧器PCL86シングルアンプキットKA-33SE
電話で聞いたところ,お店が開いているのが6時半までというので,あわてて電車に乗って秋葉原まで行ってきました.5月末まで期間限定で28,000円.完成品も56,000円で売っているみたいです.
買った翌日に早速製作開始.まず部品をケースにねじ止めします.
ボリュームのつまみは金属製にしたかったので,千石電商でアルミのつまみを別途購入しました.
裏はこんな状態です.
初日はこれらのワイヤーを配線したところまでで時間切れ.2時間ぐらいでした.
翌日は抵抗とコンデンサを配線.これも2時間ぐらいで終了.
テスターで電圧チェックするように組立説明書に書いてあるのですが,確認する電圧が最大でDC 240V前後.250Vまでのテスターしか持ってないので,測ってみても針がふりきれてしまいます.買ったときの説明でも1割ぐらいの差はありますという話だったので,まあ電源のトランス,ブリッジダイオードの直後だしショートしてなければOKということにして確認終了.
パソコンにつないでみたところ,あっけなく一発で動作.めでたく,デスクトップオーディオシステムが完成しました.
今はとりあえずMac miniのヘッドホン端子から直接入れています.一緒にエレキットのUSB-DACモジュールも買って来たので,そのうちこれ経由の音も聞いてみたいと思います.
2014年5月12日月曜日
2014年5月11日日曜日
真空管アンプ選び その2
「真空管アンプ選び」の続き.
秋葉原まで真空管アンプを選びに行ってきました.
最終的には通販で買うにしても,一度聴いてからでないと買えないのと,初めての真空かアンプなので,色々勉強しておこうかと...結果として正解でした.
同僚の殿から「ここの奥に一件あるんだよ」と聞いたような記憶があるが,あれはいつの事だったか,と思いながら,秋葉原駅からガード下っぽい建物の一番奥に入ってみると,一番奥にありました.春日無線です.おじさん方お二人が話されていたので,「すみません,4万円くらいまでで真空管アンプ買おうと思っているんですけど,全くの初めてなんで...」「えっ?4万円?完成品で?」「キットにしようかと思ってます.ハンダ付けは普段やっているので.」てな,話をした後で,2機種を聴かせて頂きました.
物は
の2機種.最初はKA-34SEの方.真空管アンプっぽい音なのかな?と思っているうちに,KA-33SEに切り替えると,へぇ〜っていうくらい音が違いました.また,スピーカーを切り替えると,それ以上に音が変わるんですね.
以外だったのが,出力が1W+1W以下なのに,結構十分な大きさで音が出ていたこと.ただ,これはスピーカーの効率が良くないと駄目らしくて,90dBくらいは必要らしいです.
組み立ての説明書も見せて頂きました,「プリント基板よりハンダ付け難しそうですね.」「あはは,私なんかだと逆にプリント基板の方が不安ですよ.」なんて話をしながら,お店のカタログを頂いて帰ってきました.
キットだと値段もそこそこで,5月中は特別セール中で安いので,きっと5月中には決心することでしょう.
秋葉原まで真空管アンプを選びに行ってきました.
最終的には通販で買うにしても,一度聴いてからでないと買えないのと,初めての真空かアンプなので,色々勉強しておこうかと...結果として正解でした.
同僚の殿から「ここの奥に一件あるんだよ」と聞いたような記憶があるが,あれはいつの事だったか,と思いながら,秋葉原駅からガード下っぽい建物の一番奥に入ってみると,一番奥にありました.春日無線です.おじさん方お二人が話されていたので,「すみません,4万円くらいまでで真空管アンプ買おうと思っているんですけど,全くの初めてなんで...」「えっ?4万円?完成品で?」「キットにしようかと思ってます.ハンダ付けは普段やっているので.」てな,話をした後で,2機種を聴かせて頂きました.
物は
の2機種.最初はKA-34SEの方.真空管アンプっぽい音なのかな?と思っているうちに,KA-33SEに切り替えると,へぇ〜っていうくらい音が違いました.また,スピーカーを切り替えると,それ以上に音が変わるんですね.
以外だったのが,出力が1W+1W以下なのに,結構十分な大きさで音が出ていたこと.ただ,これはスピーカーの効率が良くないと駄目らしくて,90dBくらいは必要らしいです.
組み立ての説明書も見せて頂きました,「プリント基板よりハンダ付け難しそうですね.」「あはは,私なんかだと逆にプリント基板の方が不安ですよ.」なんて話をしながら,お店のカタログを頂いて帰ってきました.
キットだと値段もそこそこで,5月中は特別セール中で安いので,きっと5月中には決心することでしょう.
真空管アンプ選び
最近,急に真空管アンプが欲しくなって来たので,ちょっとWebで調べて値段ごとにまとめてみました.秋葉原のお店で予算は4万円くらいまで.使うスピーカーは,家に転がっているYAMAHAのNS-10Mの予定です.
以下,安い順です.
続きは「真空管アンプ選び その2」で.
以下,安い順です.
- WATZ A100キット
真空管:50BM8(6BM8のヒーター電圧違い)x2
出力:1W+1W
価格:16,000円税別
Web:http://www.watz-net.com/tubekit.html#A100
参考:WATZの製品の店舗在庫は,ラジオセンター2Fの山本無線e-BOX店にあるとのこと. http://www.yamamoto.co.jp/e-box_home/index.html
- ELEKIT TU8100
真空管:PCL86(14GW8)x2
出力:2W+2W
価格:23,140円税込
Web:http://www.yodobashi.com/エレキット-ELEKIT-TU8100-真空管アンプキット/pd/100000001001542437/
参考:プリント基板での配線です.こうやって他の品物と並べてみると,結構コスパの良さそうなエレキットの商品です.今回調べてみるまでは,真空管アンプと言えばこれしか知りませんでした.ヨドバシカメラで買えるのでポイントが使える/貯まるのもメリット.
- WATZ A300キット
真空管:50BM8x2
出力:2W+2W
価格:23,690円税別
Web:http://www.watz-net.com/tubekit.html#A300
参考:ELEKITと同クラス.
- WATZ GR-100WA
真空管:6AQ5x2 6AU6x2 6AV6x2
出力:2W+2W
価格:26,800円送料込み
Web:http://www.watz-net.com/web-GL/GR100/GR100WA.htm
参考:空中配線でなくてプリント基板を使っている.ボディの色が色々ある.黒,白.若松通商に店頭在庫あり29,800円税込み.ボディが赤でボンネットが黒とか格好良さそう.http://www.wakamatsu-net.com/cgibin/radikan/page.cgi?cate=8888&page=#88880029
- 春日無線 PCL86 シングルアンプキット KA-33SE
真空管:PCL86(14GW8)x2
出力:0.9W+0.9W
価格:5/31までセール28,000円税込
Web:http://www.e-kasuga.net/goods.asp?id=1258
参考:ちょっとパワー不足か?
- 春日無線 KA-08SEキット
真空管:PCL82(16A8)x2
出力:2W+2W
価格:34,020円税込み
Web:http://www.e-kasuga.net/goods.asp?id=72
参考:コイズミ無線にて34,000円税込み.http://dp00000116.shop-pro.jp/?pid=34360978
春日無線のアンプはコイズミ無線にも在庫が色々あるみたいです.http://dp00000116.shop-pro.jp/?mode=cate&cbid=135965&csid=2
- WATZ A307キット
真空管:6BQ5x2 12AX7x1
出力:5W+5W
価格:35,237税別
Web:http://www.watz-net.com/tubekit.html#A307
参考:A307-SXのケースがいらなければ,こちらでも良いのかな?
- WATZ A55キット
真空管:14GW8x2 12AU7x1
出力:3W+3W
価格:36,800円税別
Web:http://www.watz-net.com/tubekit.html#A55
参考:お得かも.
- WATZ A307-SXキット
真空管:6BQ5x2 12AX7x1
出力:5W+5W
価格:39,810円税抜き
Web:http://www.watz-net.com/tubekit.html#A307-SX
参考:A300(23,690円税別)は50BM8x2,A307(35,237円税別)はケースの違い?値段ごとですね.こちらはボディの色がオレンジと黒でお洒落.こちらの機種だけは,検索すると他の店でも結構出て来る.39,800円とか.http://www.hiramoto.com/oms/mono/shinkukan_amp307.html
- Bulter Vacuum 6W
真空管:EL84(6BQ5)x2 EC83(12AX7)x1
出力:3.5W+3.5W
価格:楽天で40,700円税込み
Web:http://item.rakuten.co.jp/northportplaza/vacuum_6w/
参考:ヨドバシカメラでも取り扱っている.44,500円http://www.yodobashi.com/BUTLER-バトラー-VACUUM6W-真空管プリメインアンプ/pd/100000001001611011/
続きは「真空管アンプ選び その2」で.
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